家庭や工場において大量に排出される有機物は通常の場合、「排水」として区分され、やっかいものとして、下水処理場や排水処理施設でエネルギーを投入し、汚泥に変換され、最終的に焼却・埋め立処分されている。この有機物は炭素エネルギー的に最も安定な形態である二酸化炭素に変換される過程でエネルギーを出す。このエネルギーは電子として、微生物から獲得が可能であり、微生物燃料電池とはそのエネルギーを外部負荷へと導くものである。 本研究は生物処理と膜技術を融合させた高度な汚水浄化処理プロセスである膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクター:MBR)で下水などの排水を浄化すると同時に、有機物の酸化過程で得られるエネルギーを電気として取り出すシステムを開発することを目的とする。 21年度は電極並びにメディエーターの改良並びに反応槽の構築を行うことを計画していた。研究を進めるに従って、好気槽・嫌気槽を仕切るイオン交換膜と反応槽内におけるその配置が電子の移動を促進させるために特に重要であるという結果を得た。また、廃水処理とエネルギー創造を同時に行い、さらにMBRの構造をもつような装置の構築は22年度に行う予定であるが、21年度は試作段階の反応層として、イオン交換膜と電極の種類を変え、それによる影響を調べた。また、電力以外の付加価値のある物質(たとえば過酸化水素)の生成の可能性も模索し、確認した。
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