研究課題
家庭や工場において大量に排出される有機物は通常の場合、「排水」として区分され、やっかいものとして、下水処理場や排水処理施設でエネルギーを投入し、汚泥に変換され、最終的に焼却・埋め立処分されている。この有機物は炭素エネルギー的に最も安定な形態である二酸化炭素に変換される過程でエネルギーを出す。このエネルギーは電子として、微生物から獲得が可能であり、微生物燃料電池とはそのエネルギーを外部負荷へと導くものである。本研究は生物処理と膜技術を融合させた高度な汚水浄化処理プロセスである膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクター:MBR)で下水などの排水を浄化すると同時に、有機物の酸化過程で得られるエネルギーを電気(電子)として取り出すシステムを開発することを最終的なゴールとし、それに至るまでの基礎的な知見を収集することを目的としている。本研究で得られた成果は以下の3転に集約される:微生物燃料電池は電気を起こすだけに利用されるのではなく、制御される電子を利用して、たとえば、過酸化水素を生成することができる。現在は売電料金が大変安いことから、発電の経済的インセンティブが低い。これに対し、酸化剤や還元剤は工業的に価値が高い。本研究の新しい方向性を示唆した画期的な成果である。(成果1)微生物燃料電池をアルカリの発生装置として利用可能であることを証明した。上記成果1と同様の理由で電気以外の物質の算出を行った。その結果、相当量のアルカリを生成することに成功した。(成果2)電気を効率的に生成するための様々な実験研究を行った。たとえば、反応槽を二重構造にすることにより水素イオンの濃度蓄積が起こらないことを確認した。また、この反応槽設計に対して特許を申請している。(成果3)
すべて 2011
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Water Research
巻: Vol.45, No.8 ページ: 2691-2699