研究概要 |
1.微生物群集構造解析手法の確立 キノン抽出時にSFE装置流路口に水を送液し,抽出溶媒の極性を調節することで,トラッピングカラムによるキノンの選択的な回収が可能となることを明らかにした.また,ハイパフォーマンスキノンプロファイル法による微生物群集構造解析の再現性および分析精度の向上の可能性を示した.これにより,分析時間を大幅に短縮することが可能となった.また,これらの手法をリン脂質脂肪酸分析に用いることができることを示した. 2.微生物群集構造解析手法の応用 環境サンプルとして,メタン発酵,家畜排泄物および堆肥を対象にハイパフォーマンスキノンプロファイル法を適用した.メタン発酵への応用については,発酵過程の安定性とキノンプロファイルの変化に相関性が見られ,キノン種の多様性が高いメタン発酵槽は生育環境の変化に対応しやすいことを示した.さらに,中温発酵におけるメタン発酵槽内の微生物量は,槽内への負荷と関連していることを明らかにした.キノンプロファイル法を用いることにより,微生物相の動的変化が評価可能であることが明らかになり,メタン発酵槽の安定性指標になりうる可能性を示した.家畜排泄物への応用については,キノン種評価により給餌する飼料の違いがもたらす腸内細菌叢の差が検出可能であることが示された.堆肥製造への応用については,堆肥製造過程のC/N比変動が安定していても微生物相は変動し続けていることが明らかになり,堆肥化における微生物相変化の定量的モニタリングが可能であることが示された. 3.微生物群集構造データベースの構築 過去の文献や情報の収集・整理を行い,化学的な微生物群集構造の分析手法についての原理,手法,応用事例などを調査した結果をデータベースにまとめ,ホームページへ公開した.
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