研究課題/領域番号 |
21360253
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米田 稔 京都大学, 工学研究科, 教授 (40182852)
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研究分担者 |
中山 亜紀 京都大学, 工学研究科, 助教 (10335200)
杉本 実紀 京都大学, 農学研究科, 助教 (20243074)
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キーワード | ナノシリカ粒子 / 体内動態 / 静脈内投与 / 排泄経路 / 粒径分布 / ICR-マウス |
研究概要 |
本研究では、粒径10nm、120nmの14C標識シリカ粒子をICRマウスに尾静脈投与した。本実験より、粒径の違いによる血中に侵入したシリカ粒子の体内動態の変化を検討した。 投与から30分~24時間後に解剖し、血液と臓器を摘出した。これらの血液中および臓器中に含まれる放射能量を測定し、得られた放射能量からシリカの重量濃度を算出した。 実験の結果、血液中では、粒径10nmの粒子の重量濃度は投与後減少し続けたのに対し、粒径120nmの粒子は投与から4時間後に一時的な増加が認められた。臓器中では、どちらの粒子も肺、肝臓、心臓、脾臓中でシリカの重量濃度が高くなった。また、粒径120nmの粒子の重量濃度は投与後減少し続けるのに対し、粒径10nmの粒子は脾臓、肝臓などで24時間後も減少せず蓄積していた。以上より、血中に侵入したナノ粒子は各臓器へ移行した後、臓器内で蓄積することが示唆された。本研究の結果、ナノサイズの粒子とサブミクロンサイズの粒子では、血液中、臓器中の粒子の動態が異なることが分かった。血液中では、サブミクロンサイズの粒子は腸管循環と考えられる投与から数時間後の一時的な増加が認められたのに対し、ナノサイズの粒子は投与後から減少し続けた。臓器中では、サブミクロンサイズの粒子は減少し続けるのに対し、ナノサイズの粒子は24時間後まで減少しない臓器が存在した。これらの結果から、ナノサイズの粒子はサブミクロンサイズの粒子と比べて、血中から臓器へ移行した後、臓器中で蓄積する傾向があることが示唆された。
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