近年の人口増加と食物価格の高騰は、特に食糧生産のための肥料として必要なリンの需要・価格を上昇させている。リンは重要な天然資源の一つであり、近い将来に枯渇することが予想される。従って、最近ではこのリンを多く含有する尿からリンを含む緩効性肥料(MAP)を生産する方法が注目されている。しかしながら、その農業利用を検討する際には、尿中に元々含まれる環境ホルモンや医薬品類等の微量汚染物質についての考慮が必要である。 本研究では、MAP生産の際の微量汚染物質の挙動を実験的に調査し、微量物質の挙動も含めたMAPの最適生成条件を求あるにとを目的としている。本研究では、現在世界中で使用されている膨大な数の環境ホルモンや医薬品類の中から、それぞれの使用量や物理化て学的特性を考慮して、代表的な2種の環境ホルモンと10種の薬剤を実験に供する試料として選定した。MAP生成実験においてこれらの選定化学物質の挙動を追求した。その結果、多くの微量物質MはAP中にはほとんど移動しないが明らかになり、他の微量物質の挙動も予測することが可能となった。 来年度は、MAP生成のための最適条件を更に詳細に検討する予定である。
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