研究課題
硝化・脱窒素反応は、微生物(特に細菌)による窒素化合物の代謝によってなされることが知られているが、これらに関与する微生物の多くがプロセス内の分子状酸素の濃度に応じて窒素化合物の代謝経路を変化させ、最終産物である硝酸や窒素ガスといった反応の最終生産物に至らずに、中間産物である亜酸化窒素を大量に発生させる現象を引き起こしていると考えられる。脱窒反応における亜酸化窒素の発生を削減するためには、耐酸素性の亜酸化窒素還元酵素を有する脱窒微生物の活用が鍵になると考えられる。活性汚泥や硝化脱窒素生物反応汚泥などにおいて必要十分量の耐酸素性脱窒微生物が生存し活性を保ち続けているかについて、この特殊な微生物の挙動を把握するための手法を開発しておくことは、本研究において特に重要な研究要目である。そのために、平成22年度においては、分子生物学的微生物生態解析技術による手法を混合微生物系における耐酸素性脱窒素微生物の挙動解析と活性評価に適用する方法として、亜酸化窒素還元酵素遺伝子であるnosZ遺伝子のリアルタイムPCR法(NosZ(N_2OR)mRNAの検出を標的とする定量RT-PCR法を含む)を確立した。また、耐酸素性脱窒素細菌として知られているみPseudomonas stutzeri TR2株を硝化・脱窒系に導入して、一般的な脱窒細菌との増殖特性の差異を調べると共に、いくつかの条件における増殖特性と亜酸化窒素発生の関係を明らかにした。その結果、TR2株は脱窒基質濃度5mMの亜硝酸を脱窒基質として与えた場合に他の一般的脱窒細菌よりも優勢的に増殖でき、N_2Oを発生させずに完全脱窒する可能性を明らかにできた。
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Applied and Environmental Microbiology
巻: Vol.76, No.14 ページ: 4619-4625