研究課題
廃水処理システム由来の活性汚泥から、好気条件、亜硝酸存在下において脱窒細菌をスクリーニングすることにより、Paeudomonas stutzeri TR2 株と同様に亜硝酸に耐性があり、酸素存在下において高い脱窒能力を有するだけではなく、リアクター中の生残能が高いと考えられる脱窒細菌株を20株、および能力が未知である脱窒細菌を3株単離することができた。これらの単離細菌は、溶存酸素存在下でも亜酸化窒素(N2O)を発生させることなく脱窒反応を行うことが知られた。単離できた各耐酸素性脱窒細菌の16S rRNA 遺伝子とnosZ 遺伝子の多くはOchrobactrum 属の脱窒細菌が持つ16SrRNA遺伝子およびnosZ 遺伝子と相同性が高かった。これらの新規脱窒細菌のいくつかは、微好気条件下においても硝酸、亜硝酸、N2O を電子受容体として優れた脱窒能力を発揮できるだけではなく、N2O を電子受容体として与えた時に良好な生育が、将来的なN2O 削減技術への適用が期待できる。廃水処理の結果発生する汚泥の堆肥化プロセスにおける無機窒素化合物の微生物変換については、堆肥の熟成過程で発生するN2Oは環境に大きな影響をもたらす。本研究では、堆肥化施設から採取した熟成途中の堆肥試料を用い、N2O 還元酵素タンパク質をコードするnosZ遺伝子の定量的リアルタイムPCR 煮よる解析を行った。得られた解析結果から、nosZ遺伝子の存在量(コピー数)は堆肥内部より堆肥表面部の方が大きいことが明らかとなり、堆肥表面部は堆肥内部よりもN2O 還元能を有する耐酸素性N2O 還元酵素保有細菌の数が多いことが示唆された。また、廃水処理汚泥のコンポスト化過程では多様な種類のnosZ 保有脱窒細菌が出現し、耐酸素性のN2O 還元脱窒細菌の有効活用によるN2O発生削減が可能であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Bioscience and Bioengineering
巻: Vol.115, No.1 ページ: 37-42
DOI:doi.org/10.1016/j.jbiosc.2012.08.015
Systematic and Applied Microbiology
http://dx.doi.org/10.1016/j.syapm.2013.02.001
巻: in press ページ: 未定
http://www.sbj.or.jp/jbb/