研究概要 |
本研究は、通常のAEコンクリートで生じる連行気泡による強度低下を低減し、耐凍害性向上に寄与できる新しい技術を確立することを目的として,コンクリートと類似な細孔構造を有し、かつ撥水性をもつ高強度セラミック粉体をコンクリート用混和材料として用い、水を含まない細孔空隙(疎水空隙)を保持させることによって、凍結水量を低下させるとともに、AE剤で連行される気泡と同様に凍結時に生じる水圧を緩和する機能を持たせることにより実現させようとするものである。 本年度は,疎水空隙による凍結水圧緩和効果の定量的評価のために,コンクリートの吸水性状および凍結時の水分挙動について検討を行った。その結果,一般のAEコンクリートでも,気泡の飽水状態によっては凍結水圧の緩和機構が機能しない可能性があり,気泡中にまで水が浸入して飽水度が高まった場合には凍結融解抵抗性が低下することを実験的に明らかにするとともに,中性子ラジオグラフィによって気泡内への水分の浸入現象を確認した。 また,人工軽量骨材,中空マイクロカプセル,ガラス質中空微小球体および高撥水性ケイ酸カルシウム水和物の疎水空隙導入材料としての効果について検討を行い,撥水剤含浸人工軽量骨材と中空マイクロカプセルについては良好な結果が得られたため,最適混合条件および経済性等も含めて実用化を目指した検討を継続することとした。
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