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今年度は、昨年度までの知見を基に、下記め成果を得た。
1.提案ダンパーシステムを取り付ける建物が高層化することにより、その質量効果が目減りしてしまう問題については、ダンパーの外筒を回転させる機構に変更することと、ボールネジ部のリード長の変更により50層程度まで十分対応可能とした。
2.実際の建物を想定した多層建築構造物について、その応答量を目的関数とした最適化問題を定式化し、数値最適化により実現可能な解を得た。
3.多層建築物に対して、地震時のモード毎の応答特性を明らかにした。更に、1次モードと2次モードの応答をそれぞれ対象とした、ダンパー付加質量の最適配置問題を定式化し、数値最適化により実行可能解を得た。1次・2次それぞれの単モード制御解を組合わせて、1次・2次モードの同時制御システムを構築し、数値計算によりその有効性を確認した。
4.上記の成果を基に、3層の縮小試験体の試設計を行った。今年度は、縮小試験体の摩擦の影響を最小限に留めるための検討を行い、試験体諸元を決定した。
5.提案ダンパーシステムの特性を調べる中で、地震時の応答ダンパー反力が大きくなる問題が生じた。これについては、回転滑り機構による応答ダンパー力制限機構を提案した。軸力制限機構付きの実物大ダンパーの試作、単体加振実験にも成功した。
以上の成果により、提案ダンパーシステムを高層建築物に対する地震時応答制御システムとして適用するに当たり必要となる基礎的要素技術をほぼ確立した。
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