研究概要 |
本研究の主目的は,無補強組積造(URM)壁を有するRC造架構を対象に,地震後に目に見える損傷である「残留ひび割れ幅」と建築物が保有する「地震被災後の耐震性能(残存耐震性能)」の関係を静的載荷実験などを通じて明らかにし,国外でも直ちに適用可能な被災度判定手法の実用化を目指すものである. 本年度は上記の目的を実現するのに不可欠であるRC造架構に内蔵されたURM壁の破壊メカニズムや架構全体への耐力寄与分を調べるため,以下に示す1/4スケールのURM壁付きRC造縮小試験体およびURM壁に形成される対角圧縮ストラット角度を模擬したプリズム試験体を製作した. 1.URM壁付きRC造縮小試験体の製作 昨年度(平成21年度)までのURM壁付きRC造縮小架構における詳細な検討結果に基づき,実構造物におけるブロック造壁の拘束効果を模擬しうる梁寸法を有する柔梁型試験体(単調載荷用および正負交番繰り返し載荷用の2体)と,本研究に先立ち実施した実大実験同様の剛強な梁を有する剛梁型試験体(単調載荷用および正負交番繰り返し載荷用の2体)の2種類,計4体の1/4スケールの縮小試験体を製作した. 2.コンクリートブロックのプリズム試験体の製作 RC造架構に内蔵されたURM壁の架構全体への耐力寄与分を評価するため,URM壁の対角圧縮ストラットの形成角度を模擬したプリズム試験体(対角圧縮ストラットの形成角度を45°,37.5°,30°,22.5°と予測したの4種類の試験体)を製作した. 来年度(平成23年度)は,今年度に製作した上記の縮小試験体およびプリズム試験体を用い,面内方向への静的載荷実験を実施し,URM壁付きRC造架構の耐震性能および残存耐震性能について詳細に検討を行う予定である.
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