研究概要 |
本研究の目的は外装仕上材からそれらを支える2次部材に変動風圧力が伝達され,最終的に構造骨組を通じて地盤へ伝達されるプロセスを詳細に追い,従来の耐風設計で行われている構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の妥当性を検討し,外装材と構造骨組の区別が付かないモノコック構造や外装材を支持する2次部材と構造骨組の区別が曖昧な部位の合理的な耐風設計法を提案することであり,平成22年度は次の4項目について研究を実施した。 (1)平成21年度に実施したモノコックタイプの円筒状構造物の風洞実験結果を基に,これらの構造物に生じる最大応力に対する全体挙動の貢献分と,局部風圧による貢献分の分離,抽出と,それぞれの貢献比率の検出,(2)大スパン屋根2体(ドーム型,円弧型)に作用する変動風圧力の特性を把握するための風洞実験模型の製作と境界層風洞を用いた変動風圧の多点同時計測の実施,(3)ドーム型と円弧型の2体の大スパン屋根構造の3次元FEMモデルの構築,(4)風洞実験結果を用いた,2体の大スパン屋根構造の最大応力の詳細な解析 特に(1)のモノコックタイプの円筒状構造物に生じる最大応力への全体挙動の貢献分と,局部風圧による貢献分を分離,抽出し,それぞれの貢献比率を検出することが重要な課題として研究を実施した。構造物の全体挙動により生じる最大応力を求めるために,モノコックタイプの煙突に対応する多質点モデルに対して,風洞実験により得られた風圧記録を積分して算出した層風力を作用させ,煙突頂部の応答変位の時刻歴記録を算定した。平成22年度に作成した詳細なFEM解析モデルに得られた応答変位を再現した際に生じる最大応力を全体挙動の貢献分とした。また,風洞実験で得られた風圧記録にPOD解析を適用して補間した風圧記録をFEM解析モデルに直接入力して得られた最大応力から全体挙動の貢献分差し引いた応力を局部風圧の貢献分として分離し,それぞれの貢献比率について検討を行った。
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