本研究は、都市部に分散配置された発電拠点から電力と熱を併供給する分散エネルギーシステムを中核とした再生可能エネルギー導入拡大の可能性に着目し、遺伝的アルゴリズムを用いたエネルギーシステム最適計画手法を拡張した「再生可能エネルギー導入最適化設計支援ツール」の開発に取組むものである。今年度は下記の3課題を実施した。 課題1)エネルギーシステム機器情報データベース構築 「再生可能エネルギー利用機器の性能情報」、および「対象機器のコスト情報」を入手し、データベースを構築する。データベース構築にあたっては、専門メーカのカタログ情報、技術資料の提供が不可欠であり、空調メーカとの共同研究経験の多い大岡、加藤が担当した。特に、コジェネレーションやガス焚熱源機器については、研究協力者の市川氏(東京ガス株式会社)から技術的協力を得ながら取組んだ。 課題2)コストを考慮した多目的最適化モデル拡張 トレードオフ関係にある複数の目的関数に対して優秀な解群「パレート最適解群」を効率的に導くことができる多目的GA(Multi-Objective Genetic Algorithm ; MOGA)を適用し、コスト計算を行うプログラムを作成と、前述のデータベースとの連成を行った。本研究課題は、多目的最適化研究の経験がある大岡が担当した。 課題3)二次側システム最適化モデル拡張 エネルギーシステムのうち、現状の最適化モデルにおいて開発が完了している一次側熱源機器(冷凍機、ボイラ、ヒートポンプなど)の最適化に加え、熱負荷計算モデルとして汎用性の高いプログラムTRNSYSと連成させることにより、各室の熱負荷に対処する二次側熱源(ファンコイルユニット、エアハンドリングユニットなど)を含めた空調設備全体の最適化に取組んだ。本研究課題は、室内環境最適化の経験がある加藤が担当した。
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