1.WRFによる風速鉛直分布の再現精度の検証、およびその分類と発生頻度の調査 GISに基づいて土地利用分類と地表粗度を設定してWRFに与える方法を開発した。これによって計算した風速の鉛直分布をドップラーソーダによる観測データと比較したところ、かなり高い精度で風速鉛直分布を再現できることが明らかとなった。次にこの方法を用いて夏期3年分の計算を実施し、得られた風速と温度の鉛直分布のデータをクラスター分析によって分類し、それぞれのパターンの発生頻度を求めた。 2.都市表面から大気への対流熱伝達率の一般化 建蔽率、容積率、建物高さのばらつき等の都市形態を表すパラメータを変化させた低Re数モデルによるCFD解析を実施し、その結果に基づき、建物屋根面、壁面(風上面、風下面、側面)および地面から都市キャノピー内空気への対流熱伝達率を求めた。今後はこれらの結果をまとめ、都市形態、レイノルズ数、大気安定度をパラメータとして上記対流熱伝達率を一般化し、WRFの都市キャノピーモデルに組み込む。 3.弱風域を対象とした非等温流れ場のLarge Eddy Simulation(LES) 非等温LESの流入境界条件となる流入変動風(風速変動および温度変動)の作成方法をいくつか検討し、妥当かつ実用的な方法を見出した。この流入変動風を用いて建物後方の流れ場、温度場、濃度場に関するLES計算を行った。この計算結果は、流入変動風無しのLES計算結果やRANSモデルによる計算結果と比べると実験結果との対応が格段に良いことが明らかとなった。
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