研究課題/領域番号 |
21360284
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
大澤 元毅 国立保健医療科学院, 統括研究官 (20356009)
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研究分担者 |
柳 宇 工学院大学, 建築学部, 教授 (50370945)
鍵 直樹 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (20345383)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 講師 (80469246)
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (50293494)
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キーワード | 建築環境設備 / 空気環境 / ダンプネス / 水害 / 微生物汚染 |
研究概要 |
本研究では、近年地球温暖化に伴って拡大傾向にある水害が、省エネと居住性改善をめざして断熱気密性の高められた住宅へ及んだ場合に、建物と居住者の健康が被る影響を、実測調査等により明らかにし、その様相解明と的確な対策立案に資する知見整備を行うことを目的とした。最終年度となる今年度は、下記の項目について調査・検討しとりまとめを行った。 1.被害実態と対応状況の把握 ハウスメーカーに対するヒアリングを継続するとともに、水害対策に関する意識と基礎工法選択についてアンケート調査を行い、基礎パッキン使用による床下構造の密閉化が急速に進行している状況等を明らかにした。 2.被災住宅での健康影響に関するアンケート及び訪問調査 被災住宅及び対照のための住宅、合わせて6地域42軒について簡易調査(居住者による温湿度自動測定機器の設置・回収、表面付着菌採取)を、更に10軒について真菌測定を含む訪問詳細調査を実施し、実態の把握に努めた。簡易調査では浸水のない室の床面堆積菌が平方センチ当たり3.1cfuであったのに対し、被災室では4.9cfuと高い値を得た。一方、詳細調査では床下の真菌数が多く、室内への侵入が示唆される例が見出された。また、空中浮遊真菌も浸水ありの住宅(7軒)の平均濃度は174cfuと浸水のない住宅(1軒)の50cfuに比べて著しく高かった。 3.浸水後の床下環境予測法の検討 最終的な床下環境の予測と対策提案のために、浸水後の床下コンクリートにおける水分移動倣湿過程)をモデル化し、部位実験と比較してその妥当性を検証した。なお、実験における浸透水分重量は757g/m^2で、予測計算によれば乾燥期間を半減させるには床下換気量を10倍にしなくてはならないという結果を得た。
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