研究課題/領域番号 |
21360291
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 哮義 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 教授 (70293959)
|
研究分担者 |
樋本 圭佑 京都大学, 防災研究所, 助教 (90436527)
西野 智研 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00609894)
|
キーワード | 地震火災 / 物理的延焼モデル / 広域避難 / 避難危険度 / 避難者時空分布 |
研究概要 |
阪神大震災、福井地震、関東大震災を始めとする多くの事例が示すように、都市大地震時で都市住民の人命にとって最悪のシナリオは強風下で発生するものである。本研究では昨年度までに、ポテンシャル法を用いた広域避難モデルを開発し、100万人規模の住民の避難行動を個々に追跡可能にし、また延焼予測モデルの計算の高速化を実現して、50~60万棟を有する都市における地震時同時多発火災の24時間程度の延焼性状ならPCを用いて10分時間程度の時間で予測可能にした。 本年度は、上記の研究開発成果を踏まえて下記(1)~(3)の研究開発を進めた: (1)延焼モデルに組み込まれている建物燃焼予測の機能向上に関する実験データによって検証しながら建物内延焼拡大予測モデルの改善と整備を行った。 (2)都市避難の様相は地震発生時における住民・滞在者の滞在状況に大きく依存することから、前年度に手懸けた住民の通勤行動を考慮した避難者の時間帯ごとの空間分布の予測手法を改善した。 (3)市街地上の建物数や道路数は膨大なので、延焼予測や避難性状を避難リスクの評価や対策の立案のためのツールとして実務的に利用できるようにするためには、これらの膨大なデータを自動的に入力し、また計算結果を可視化して表示できるようにする必要がある。全年度までに開発を進めてきた広域住民避難モデルと市街地火災延焼モデルを、一般的に使用が可能な市街地建物、道路ネットワークの電子データとGISインターフェースを通じて統合した住民避難危険評価支援システムの構築を図り、素案を作成した。なおインターフェースの部分のプログラミングは専門業者に発注した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民避難危険評価支援システムの主要構成要素は物理的地震火災延焼予測モデル、住民避難性状予測モデルであるが、前者は予測計算高速化を進めた結果50~60万棟を有する、概ね京都市レベルの大都市での地震火災延焼を24時間追跡してもPCで10分程度しか要しない。住民避難モデルもポテンシャルモデルを採用して100万人の避難者を追跡するのに数分程度しか要しない。また、これらの計算を行うには都市の家屋状況、道路条件に関するデータを入力し、計算用データとして変換することが必要であり、また計算結果を利用し安くするためにはPC画面上に画像表示することが必要であるが、このためのインターフェースも既に素案が出来て、幾分残るかも知れない不備の改善を図れば良い段階に来ている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は最終年度なので、次の研究を実施した。 (1)今年度に作成した住民避難危険評価支援システムの検証と、それを踏まえた改善を行い、都市防災計画に関わる研究者、行政、コンサルタントなどが地震火災時避難対策を検討する上でのツールとして実務的に使用可能なものとした。 (2)住民の通勤行動を考慮した避難者の時空分布の予測手法を取りまとめ完成させた。
|