研究課題/領域番号 |
21360292
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
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研究分担者 |
関澤 愛 東京理科大学, 総合研究機構, 教授 (30358775)
野竹 宏彰 清水建設株式会社, 技術研究所, 研究員 (50550167)
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キーワード | 地震 / 避難 / 停電 / 歩行速度 / 非常用照明 / 避難シミュレーション / 避難誘導 / 高層建築物 |
研究概要 |
家具・機器類の転倒時の室内歩行速度調査に関して、地震動の直後に見られる物品が散乱するとともに停電により非常用照明程度の明るさとなる通路を想定した歩行実験を、神戸大学都市安全研究センター実験棟にて被験者24人で実施した。震災時に見られる、物品が散乱した通路を想定した歩行実験を行なった結果、震災時の通路における散乱物や照明の停電は、歩行速度だけでなく歩行者の心理にも大きな影響を与えることが明らかとなった。特に照明の停電は、散乱物自体よりも直接的に、被災者の恐怖心に対して強い影響を与えることが明らかとなった。場合によっては、その避難路が選択されるかどうかについても判断の材料となりえるため、避難者が避難計画通りの避難口まで到達できない可能性も高まる。同時に、災害時の混乱や恐慌状態を生じさせる可能性も高いと考えられることから、非常照明設備の必要性の高さが改めて実証されたと言える。 避難誘導方策に関しては、火災発生の可能性がある大規模な地震後を想定し、事務所ピルにおける全館避難の誘導方策に関して検討した。過去の事例から地震直後の建築物内での状況を整理した結果、全館を対象とした避難誘導においては、上層階在館者の優先避難と、階段室内での滞留発生の抑制が、優先すべき事項として見出された。特に超高層事務所ピルの場合、地震に伴う竪穴区画の損傷が懸念されるとともに、在館者の総数に対する避難階段の容量も相対的に低くなるため、上記二つの課題の重要性が高まると考えられる。そこで、避難シミュレーションモデルを用いて、いくつかの避難誘導パターンを比較し、地震後の避難誘導の方法に関して検討・考察した。その結果、順次避難の効果として、避難時間の内訳を制御し、階段流入時の過度な滞留や階段内での待ちを抑制する可能性があることが確認された。また、上階層の在館者の優先避難などの有効性も確認された。
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