平成22度は、フランスにおける大規模改修事例調査を実施し、その結果を受けて、大規模改修プロジェクトの成立要件の整理を行った。具体的には、既存建物の構法に依存する制約条件を明らかにするとともに、プロジェクトの法的・コスト的条件等を明確にし、データシートとして整理した。 この結果を受けて、平成23年度は、整理したデータシートに基づき、オランダにおける大規模改修事例調査を実施した。オランダの事例は、平成21年度の調査により概要は把握済みであるが、平成23年度は、データシートに従った詳細調査を行うとともに、調査結果に基づき、条件項目と手法項目及び改善効果評価値の関連性の分析を行った。また、分析の結果得られた、汎用性の高い改善手法と、その適用に関わる条件を整理したものを、大規模改善指針としてとりまとめた。 さらに、評価と分析結果を反映した、三カ国の公共集合住宅に関する大規模改修事例集を作成した。 なお、基本的な研究計画の立案と研究遂行時の大きな意思決定は研究代表者が行ったが、現地調査は、研究代表者と研究分担者が共同で行った。日本の事例の現地調査は、研究分担者が主に行った。分析手法の検討と具体的な分析は、三者が共同で行った。
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