研究課題
最終年度は前年度までの2年間で行った研究内容の達成を再確認し、再調査・当初予定調査さらに展望性を考慮した発展可能性のある予備調査を行い、研究のまとめに向けて「抱護」に関する報告会を開催することを計画・実施した。6月の第1回研究会(中部大)において、山元が多良間島の明治期の土地台帳に基づく抱護林の原型復元がなされた。仲間が抱護林の現地における復元の可能性を多良間村に提案する事となった。次に澁谷が与論町城集落の予備調査報告を行った。なお渡邊欣雄(中部大教授)氏が参加された。7月に浦山鎌田が石垣市役所市史編集課を訪問し、明治期の地籍図を入手、鈴木が真喜・稲嶺集落と本島中南部の村獅子調査を行なった。8月には山元・鈴木が沖縄本島北部の集落を対象とした抱護林再調査を行い、浦山と仲間は同じ地域の抱護林包括調査を行った。その結果、集落の立地特性により「海蝕崖下・砂浜地」型と「海岸砂丘・後背低地(デルタ)」型に分けられ、後者は「腰当森」タイプと理解された。9月は浦山・澁谷・鎌田が非井然型集落の事例として鹿児島県与論町城集落の集落調査を行い、石垣分布・フクギ分布調査を行った。その後、浦山・仲間・陳(連携研究者)が抱護林と中国・風水林の比較のため香港・広東省に出向き、蓮墺集落の調査さらに広州市の華南農業大学熱帯生態研究所で風水林の実態や研究状況の指導を受けた。中国南部の風水林事例調査は深セン市の惧光塩?村・楊梅村の2か所で行った。一般市民への成果発表の機会を10月8・9日に持った。学際シンポジュウム「風水思想と東アジア」(中部大学リサーチセンター)において小特集<風水と抱護>を企画した。浦山が「沖縄の近世集落形成に係わる抱護林への総合的アプローチ」を発表し、抱護林の全体説明と研究方法を解説した。仲間は「植生構造からみた琉球の集落抱護の特徴について」を発表し、集落のフクギ樹齢調査の結果から植樹された年代を推定した上で集落形成期の初期段階に形成された林と結論付けた。山元は「沖縄の抱護林と近・現代」を発表し、明治期の地籍図資料等のデーター整理から石垣市街地の消滅した抱護林の復元図及び消滅過程を実証した。また明治期の多良間島の抱護林復元も行った。澁谷は「韓国の裨補風水」について発表し、抱護林と韓国・「村の林」の比較について述べた。合わせて第2回研究会も行った。2月には浦山・澁谷・山元が韓国.全羅北道 鎮安市の「村の森」を韓国の研究協力者と調査行い、20か所の裨補林事例を採取した。東アジアの風水文化比較研究に発展するであろう。3月は第3回最終研究会を有明高専で開催し、研究のまとめの報告を行った。その後、鹿児島県 麓集落の巡検を行った。
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