研究概要 |
申請者が独自に開発した透過電子顕微鏡内電場-磁場観察法の空間分解能向上や適用条件の拡大を目的とした、測定方法改良を行った。さらに、幾何光学的な解析をより進め、任意のレンズ条件で、任意の拡大倍理と及び検出感度を実現できる制御法を確立した。 この結果、中電圧電子顕微鏡において、ガス雰囲気中において観察を行う設備の開発を完了した。これにより、さまざまなタイプの試料を10e-2Pa台のガス雰囲気で観察する二とが出来るようになり、化学反応により起きる電荷移動現象をその場観察することが出来る可能性が開けた。さらに、同一装置を用いてガス中表面反応を断面方向から観察する技術をく着想した。また、超高圧電子顕微鏡中でも、本手法が実現可能であることを示し、レンズ制御条件や得られる検出感度を幾何光学的に解析すると同時に、実機Hitachi H-1250STおよびJEOL JEM-1000K RSで実測した。実現できる検出感度は、中電圧300kVタイプの透過電子顕微鏡に対して80%から60%であり、レンズ条件を制御することにより同等に保つことが出来た。また、電子線の発散核を小さく押さえられることから、分解能の向上が望めることが示唆された。さらに、超高圧電子顕微鏡の広いポールピースギャップを利用し、電場の三次元観察の可能性を検証する基礎実験を行った。本来ベクトル場である電場は、二つ以上の軸で回転させて得られた画像からしか三次元構成出来ないが、取り出すベクトル成分を回転軸方向に限定することで、一軸回転のみで、ベクトル場の三次元再構成が可能である事を示すことが出来た。 本研究全体を通して得られた成果を、"The Transmission Electron Microscope" Chapter1, Ed.by Khan Maaz (Intech, Ltd.) ISBN 978-953-51-0450-6にて出版することが出来た。
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