本提案研究は、成長速度に大きな方位依存性のある酸化物結晶を種結晶に利用することで、ガラスなどの大面積基板上へ単結晶半導体薄膜を形成する技術を開発することを目的とする。そのため、横方向成長しやすい層状結晶InGaO_3(ZnO)_m(m=整数)に着目し、これらのアモルファス薄膜を結晶化・横方向成長させることで大粒径多結晶および単結晶薄膜を作製することを試みる。 平成21年度は、結晶相-アモルファス相境界にあるアモルファスInGaO_3(ZnO)_4がもっとも結晶化温度が低くなると考え、この薄膜の結晶化について検討を行った。ブリッジマン炉を導入し、異なる温度プロファイルで結晶化を行ったが、粒径がおおきくならず、また、結晶化温度も600℃以下にならなかった。そのため、堆積条件およびバッファー層を検討し、その結果、結晶化温度は下げられるものの、結晶相は分相してしまうことがわかった。この結果を元に、他の組成についても検討したが、In_2O_3(ZnO)_mについても分相してしまった。最終的に、InGaO_3(ZnO)_1において単相の結晶InGaZnO_4が得られ、また、堆積条件およびバッファー層を選択することにより、結晶化温度を400℃以下に下げられることを見出した。
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