研究概要 |
ナノイオン交換法に適した温度特性および電気伝導特性を有するソーダアルミノボロシリケートガラスの組成設計を行い、溶融急冷法により均一なガラス基板を作製した。この基板材料に、銀イオンを含む層をコアとした埋め込み型光導波路をフォトリソグラフィー法およびイオン交換法により形成した。このとき、表面のクラッド層の厚みを1μm以下となるように制御した。この光導波路の表面クラッド層の上面に対して、導電性加工を施したAFMを電極としてナノイオン交換処理を実施し、コア部に銀イオンをガラス表面に引き出す操作を実施した。接触時間と処理時の電流値を制御することで電気量(処理イオン量)を変化させ、ナノイオン交換処理を施した異なるサイズのドット形成した。導波路に対して波長可変レーザー光を導入して光を導波路に伝搬させ、形成したイオン交換部を観察したところ、光導波路を伝搬していたレーザー光の一部が処理ドット部から出射することを確認した。その光の出射の有無は、ナノイオン交換電荷量と光の波長によって決定されていることを明らかにした。これにより,ナノイオン交換法によって埋め込み型光導波路へ光の出入口として機能する開口部を形成できることを示すことに成功した。また、イオン交換中にAFMプローブを動かすことにより、イオン交換処理が施される領域を変え、微細な交換パターンを描くことができることを示し、ナノイオン交換リソグラフィーとしての可能性を示すことに成功した。
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