研究課題/領域番号 |
21360328
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
平賀 啓二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, NIMS特別研究員 (80354190)
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研究分担者 |
森田 孝治 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (20354186)
金 炳男 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主席研究員 (50254149)
吉田 英弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (80313021)
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キーワード | 高速超塑性 / 微結晶粒酸化物 / 粒界偏析 / 不定比性 / 局所応力緩和 |
研究概要 |
本年度は下記[1]~[3]を中心に研究を行い、それぞれの以下に記載の結果を得た。 [1]粒界ドープ・共偏析が高速超塑性発現に及ぼす効果 前年度研究で高速超塑性の発現が認められた無添加Y-TZPの高緻密化焼結体を基準材として、陽イオンドープが超塑性変形の開始温度と破断延性に及ぼす効果を明確化した。通常ひずみ速度域(1E-4/s)を対象とする既往研究において、超塑性とその延性を促進するとされるイオン添加は、特定のイオン種を除くと、高ひずみ速度域での超塑性ならびに延性を変化させないか、あるいはかえって低下させることが見出された。 [2]局所緩和機構を促進するための不定比性の制御と微細粒緻密化 前年度に検討した反応焼結法によって、AB204(Fd3m)型スピネルにおいて、Bサイト陽イオンを過剰側に含む相をY-TZP中に微細分散・複合化させることを試みた。これによって、常圧下のin-situで微細粒のまま緻密化させた複合化材料の合成に成功した。本手法で合成した3相系複合材料系を対象として高温変形挙動を検討の結果、高速超塑性とその延性の促進効果が得られた。以上の検討と並行して、前年度に引き続いて放電焼結法による微細粒緻密化をジルコニアやスピネル等の系を対象に試み、微細粒化条件を明確化した。 [3]ポア収縮・拡大に関する検討 加圧焼結下でのポア収縮・消滅と引張超塑性変形におけるポア発生・成長とが、相互に逆過程の関係として捉えられる点に着目し、微細粒緻密化とポア生成の抑制について拡散モデルと実験によって検討した。これより、両方の過程において、ポアが結晶粒径のサイズまで収縮(焼結)あるいは拡大(超塑性変形)すると、その収縮・拡大速度が大きく変化することを拡散モデルによって明確化し、このことが焼結や高速超塑性で持つ意味について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粒界偏析の検討では高ひずみ速度域での効果が予期に反するケースが多く現れたが、不定比性化合物の分散では、反応焼結法による微細粒緻密化が達成でき、高速超塑性の促進効果が確認された。このような結果から、当初計画は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進展状況に基づいて、粒界偏析については検討対象をマイナス効果を示さなかったイオン種に、また、不定比化合物に関しては、組成制御と微細粒緻密化が達成できた系に今後の検討を集中する。
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