研究課題/領域番号 |
21360329
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
淺井 茂雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (80212463)
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キーワード | 複合材料・物性 / ナノカーボン / 導電性材料 / パーコレーション / ダイナミックパーコレーション |
研究概要 |
本研究は、導電性材料であるナノカーボンを充填剤(フィラー)として高分子マトリックス中に分散させた導電性高分子複合材料におけるフィラー分散構造と電気的性質との関係を明らかにし、新規導電材料の創製へと展開するものである。特に、この複合系の構造と物性を議論する上で非常に重要なダイナミックパーコレーション現象について理論と実験の両側面から詳細に検討することを目的としている。本年度は、導電性フィラーとして、主にカーボンブラック(CB)を使用し、これを様々な充填量でポリメタクリル酸メチル(PMMA)に充填し、導電性高分子複合材料を作製した。これらの複合材料について、室温での直流体積抵抗率や走査型電子顕微鏡(SEM)によるフィラー分散状態の観察など、基礎的物性の測定を行った。また、様々なフィラー充填量を有するこれらの複合系について、高温における電気的性質の経時変化をリアルタイムで測定(In-situ測定)し、ダイナミックパーコレーション挙動を詳細に観測した。ダイナミックパーコレーションに関する新たな理論モデルを考案し、それに基づいてデータ解析を行い、高温における導電性フィラーネットワークの形成過程について考察した。さらに、ダイナミックパーコレーション現象を応用した材料創製として、少量のフィラー充填量で導電性を有し、かつ微細な発泡構造を有する、導電性マイクロセルラーコンポジットの作製を行った。本年度は、CBや気相成長炭素繊維(VGCF)などのナノフィラーをPMMAに充填した複合系を高圧または超臨界二酸化炭素処理により微細発泡化し、そのフィラーネットワーク構造と発泡挙動及び電気的性質との関係について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大きな目的の一つであるダイナミックパーコレーションに関する理論を考案することができ、それに基づきデータ解析を行い、高温における導電性フィラーネットワーク形成を定量的に議論できるようになった。また、新規導電材料として、導電性マイクロセルラーコンポジットを作製することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において新たに考案した、ナノカーボン充填系高分子複合材料におけるダイナミックパーコレーションに関する理論を検証するため、さらに実験データを収集し、解析する。高温における導電性フィラーネットワーク形成の現象を定量的に議論するとともに、その現象を利用した新規導電材料として、導電性マイクロセルラーコンポジットの作製を行う。特に、これまでは非晶性高分子をベースポリマーとして用いてきたが、今後は、植物由来でかつ生分解性を有する環境に優しい結晶性高分子をベースポリマーとした導電材料を検討する。
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