研究課題/領域番号 |
21360330
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
五十野 善信 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30135321)
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キーワード | ゴム材料 / 散逸粒子 / フィラー / 複合網目 / 構造非線形性 / 電気的性質 / 粘弾性 / 加硫接着 |
研究概要 |
ナノテクノロジーの本質はナノ粒子間、ナノ粒子/マトリックスポリマー間、ポリマー間の相互作用にある。もちろん、ナノテクノロジー材料は成形加工を経て製品化される。成形加工では必然的に大変形、高速変形条件が課せられ、非線形性が現れる。したがって、非線形条件をも含む幅広い条件下でのさまざまな相互作用を明らかにする必要がある。すなわち、ナノテクノロジーは単にナノサイズ粒子を分散させるだけでなく、ナノ粒子とマトリックスポリマーの間に強い相互作用がなければならない。もちろん、ナノ粒子は活性であるのでぐ粒子間にも相互作用が生じる。したがって、必然的に階層的構造が形成されるが、それらの構造は大変形あるいは高速変形下では構造破壊を伴うので、構造非線形性が現れる。ナノ材料の研究において、構造非線形性の理解が重要な理由はここにある。本研究の目的は、ナノ粒子分散系の構造非線形粘弾性を階層的複合網目構造の観点から検討し、非線形メカニズムを明らかにするとともに、ナノ粒子分散系材料力学物性の評価・予測ならびに設計指針を得ることにある。本研究を遂行する上での重要なポイントは、剥離強度が強く、接触抵抗の低い加硫接着法を得ること、ならびに多階層網目の存在を実験的に確認する方法の開発にあるが、Pd-Pメッキを利用した加硫接着と大変形下での力学/電気同時測定システムの活用でその目途が立った。3D-TEM法による大変形下でのフィラー充填加硫ゴム中のフィラー網目構造変化の観測にも成功した。ナノフィラー充填未加硫ならびに加硫ゴム試料を用い、これまでに得られた結果とこれから得る測定結果を総合し、標題の研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低接触電気抵抗と高接着強度を同時に満たす試料固定が可能であることを確認し、電気/力学同時測定システムの目途が立った。3D-TEM法による大変形下でのフィラー網目構造変化観測も行った。ポリマーブリッジ網目の存在を強く示唆する実験結果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーブリッジ網目の観測には誘電緩和法よりも力学応答のほうが敏感であると考えられ、電気抵抗法による接触網目観測とLAOSなどの大変形力学応答法によるブリッジ鎖網目観測を組み合わせて多階層複合網目観測を進める。
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