研究課題
リビングアニオン重合にて分子量分布を制御したPMMA-PnBA-PMMAトリブロック共重合体(BCP)とエポキシ樹脂/硬化剤とのポリマーアロイについて、BCPの全体分子量およびBCP中のPnBA/PMMAブロックセグメント組成比を種々変更し、樹脂硬化過程で形成される相構造を観察した。エポキシ樹脂としてdiglycidyl ether of bisphenol-A(DGEBA,エポキシ当量189g/eq)、硬化剤にはphenol novolak(PN)を用い、triphenyl phosphine(TPP)を硬化触媒とした。種々のBCP検討により、PnBAを主成分とする直径または幅約20~40nmの様々なナノ相構造(球状、ランダムシリンダー状、配列シリンダー状、ビシクル状、湾曲ラメラ状)を見出した。それらの相構造形成について規則性を探索したところ、PnBAブロック比、PnBAブロック分子量および全樹脂中のPnBA含有量で整理することにより相図を描くことができた。PnBAセグメントはエポキシ樹脂と非相溶であり、PMMAセグメントはフェノール硬化エポキシに相溶する。すなわち、BCP中の片方のブロックセグメントがエポキシ樹脂/硬化剤と非相溶、他方のブロックセグメントが相溶性となる組み合わせにおいてBCPの自己組織化能力が活かされ、ナノサイズの相構造がエポキシ樹脂中に形成される。その際、非相溶セグメントの分子量および樹脂中含有量に応じて相構造が規則的に形成されることがわかった。但し、BCPの分子量が約3万以下の場合は、BCPとエポキシ樹脂/硬化剤がマクロ相分離し、相構造がμmサイズを超える硬化樹脂になる。この分子量のBCP自体の自己組織化能力が乏しいためである。上記の相図はゲル化時間の影響を受ける可能性も残されており、新機能探索と共に来年度継続して検討する。
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