研究課題/領域番号 |
21360332
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新家 光雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50126942)
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研究分担者 |
赤堀 俊和 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00324492)
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20431603)
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キーワード | 歯科用材料 / 金銀パラジウム合金 / 熱処理 / 特異強化挙動 / ミクロ組織 / 機械的性質 / 組成依存性 / 規則相 |
研究概要 |
歯科用Ag-Pd-Au-Cu合金は、機械的性質、耐食性および生体適合性に優れるとともに、健康保険適用材料であることから、我が国においてインレー、クラウンおよびクラスプ等の歯科補綴修復用材料として幅広く使用されている。本合金は時効硬化型の材料であるが、近年、Ag-20Pd-12Au-14.5Cu合金(mass%)において、溶体化処理を施したにもかかわらず機械的強度が急激的に上昇する特異強化現象が認められている。この理由として、溶体化処理による固溶強化説および溶体化処理時の冷却中に析出する準安定L1_0型規則相による析出強化説が提案されている。しかし、この特異強化現象には、未だ不明な点が数多く残されており、そのメカニズムの解明には至っていない。 Ag-Pd-Au-Cu系合金において、Cuは相変態に関与する主要な元素の一つである。そこで、本研究では、Cu含有量を6.5、14.5および20mass%と変化させたAg-Pd-Au-Cu合金加工材および同合金の液体急冷凝固材を用いて、溶体化処理がミクロ組織および機械的性質に及ぼす影響を系統的に調査・検討した。 Ag-20Pd-12Au-6.5Cu,Ag-20Pd-12Au-14.5CuおよびAg-20Pd-12Au-20Cu合金加工材および同合金の液体急冷凝固材のうち、Ag-20Pd-12Au-14.5Cu合金加工材においてのみ、溶体化処理によりビッカース硬さが大幅に上昇する特異強化挙動を示した。一方、同合金の液体急冷凝固材は、化学組成が同じであるにもかかわらず特異強化挙動を示さなかった。溶体化処理を施したAg-20Pd-12Au-14.5Cu合金加工材では、X線回折により準安定L1_0型規則相の析出が観察された。さらに、反射電子像観察により同準安定相と考えられる相が母相の特定部分にのみ析出することが明らかとなり、同相の析出がAg-20Pd-12Au-14.5Cu合金の特異強化挙動と密接に関係していることが示唆された。
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