本研究ではまず、セラミックスナノクリスタルの結晶成長が有機分子等の部分的選択キャッピング効果により精密に制御可能な異方性ナノ反応場に関する基礎技術を確立する。これにより、液相プロセスにおけるテーラーメイドセラミックスナノクリスタル製造の技術基盤の構築に資する。また、異方性ナノ反応場を気相プロセスにも展開し、ユニークな形態の新規カーボンナノ材料の創製に挑戦する。さらに、ナノ材料を高次に集積化させた多元ナノ構造体の作製を試み、革新的性能を有する燃料電池、触媒、バイオセンサー等への応用展開を図ることを目的とする。 本年度はまず、昨年度に引き続き、物理的に強力衝突させる鉄鋼ボールの材質、異方性ナノ反応場を意図的に導入するためのナノ粒子の種類・サイズ、衝突エネルギー等を網羅的に変化させ、カーボンナノ材料の形態や生成量に与える合成条件を検討し、反応機構の解明を試みた。 さらに本年度は、合成したセラミックスナノ粒子の自己組織化形成に及ぼす要因を系統的に検討し、多元超格子の作製を試みた。粒子-粒子間、粒子-溶媒分子間の相互作用を高度に制御し、多様性を持つ多層構造を形成させた。また、ナノクリスタルのサイズ・形状の違いがアセンブリー構造に与える影響を検討した。これにより、セラミックスナノクリスタルの構造形成技術の体系化を試みた。また、2種類以上のナノクリスタルから、多様性に富む自己組織化構造の形成を試みるとともに、セルフアセンブリー機構の科学の確立を目指した。
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