研究課題/領域番号 |
21360345
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
小堀 裕己 甲南大学, 理工学部, 准教授 (90202069)
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研究分担者 |
清水 哲夫 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (40357215)
内藤 泰久 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (10373408)
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キーワード | ナノギャップ電極 / ナノマニピュレーション / ナノ微粒子 / 物性計測 / ハーフメタル |
研究概要 |
平成21~22年度の実施計画は主に、1)マグネタイト(Fe_3O_4)の単一及び少数のナノ微粒子をナノギャップ電極に架橋した計測用デバイスを作製する、2)作製した計測用デバイスを用いて、マグネタイト単一ナノ微粒子の電気および磁気伝導測定を行う、である。1)については達成された。2)については、ナノ微粒子表面の酸化膜による接触抵抗が予想以上に大きく、その解決のための試行錯誤を繰り返した。接触抵抗を下げるために、a)マグネタイトナノ微粒子表面の酸化膜(α-Fe_2O_3)を水素中で熱処理還元してマグネタイト化する、b)ナノ微粒子と電極の重なり領域へ、FIB(収束イオンビーム)を用いて導電カーボンを被覆し、接触面積を増大させる、c)RFマグネトロンスパッタリング装置を用いて、ナノギャップ領域のみにマグネタイトナノ微粒子を複数個付着させるなどの試みをした。a)については熱処理条件の調整が難しく、b)については満足できるほど抵抗の減少は得られなかったが、c)については、試料の抵抗が計測できるほどに抵抗値が下がり、室温で物性計測をした。平成23年度の実施計画は主に、計測用デバイスの計測技術の高度化と汎用化およびナノギャップ中のナノ微粒子の基礎物性を明らかにする事である。電極として、Auおよび強磁性体であるNiを採用して、計測デバイスを作製した。c)の方法で作製した計測用デバイスを用いて計測技術の最適化および高度化を試み、その汎用化のための指針を得た。物性計測からナノギャップ中の少数のマグネタイトナノ微粒子はトンネル型磁気伝導を示す事がわかった。また、計測用デバイスはシリコン酸化物上に金属電極を蒸着して製作しているが、走査電子顕微鏡で観察すると、基板の絶縁物の影響で目的とする分解能が得られないことがわかった。本科研費で購入した原子間力顕微鏡で観察を行ったところ非常に明瞭にナノギャップ中のナノ微粒子集合体を観察することができた。これにより研究が加速され、論文を提出することができた。(現在、実績報告書に記述している論文以外にも論文を投稿中である)
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