研究課題/領域番号 |
21360348
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大石 敬一郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, NIMS特別研究員 (70294890)
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研究分担者 |
宝野 和博 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, フェロー (60229151)
MENDIS Chamini 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, NIMSポスドク研究員 (60536704)
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50452082)
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キーワード | マグネシウム合金 / 時効析出 / 高強度 / 展伸材料 / 組織解析 |
研究概要 |
1.Caを添加することによるMg-2.3at%Zn合金の時効硬化性向上に関する原因を明らかにするために、透過電子顕微鏡(TEM)と3次元アトムプローブによりMg-2.3at%Zn-0.1at%Ca合金の時効組織を解析した。Mg-2.3at%Zn合金に対して0.1at%Caを微量添加すると、時効硬さの最大値は同程度であるが、時効硬化が早期に起こることがわかった。TEMで観察したところ、Ca添加材において、MgのC軸方向に沿った棒状析出物が形成されており、時効硬化に関係していることがわかった。しかし、Ca無添加材と組織を比較すると、析出物の形態・分布ともに類似していた。レーザー補助アトムプローブの結果によれば、Ca添加合金では時効初期段階でZnとCaのゾーンが形成されていることが明らかとなり、棒状析出物の形成サイトとなり、その結果時効を促進していると考えられる。 2.Mg-8.2Al-0.4Zn0.1Mn(at%)合金(AZ91)の時効硬化性を改善するためAgやSbなどの合金元素を微量添加し、その合金の時効硬化性と微細組織の変化を調べ、優れた時効硬化性を示す合金系を探索した。0.1at%Agの微量添加によりAZ91合金の時効硬化性が向上した。また、70℃で24hの予備時効を行い160℃で時効(いわゆる2段時効)すると、さらに時効硬化性が改善された。最高硬さで比較すると、AZ91で90Hvであるが、Ag添加により98Hvに増加し、さらに2段時効により105Hvに到達した。時効組織をTEMで観察すると、ピーク硬さが増加したAg添加材および2段時効材において、析出物の形態・構造はAgを添加していないAZ91材と変わらないが、析出物サイズが減少、さらに析出物の数密度が増加する傾向があることがわかった。このことから、Ag添加AZ91合金は本研究の目標である時効硬化型の展伸用Mg材として期待される。
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