研究課題/領域番号 |
21360348
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
大石 敬一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 特任准教授 (70294890)
|
研究分担者 |
宝野 和博 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, フェロー (60229151)
MENDIS Chamini 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, NIMSポスドク研究員 (60536704)
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50452082)
|
キーワード | マグネシウム合金 / 時効析出 / 高強度 / 展伸材料 / 組織解析 |
研究概要 |
展伸用マグネシウム材料の開発のために、Al合金のように圧延・押出し後、時効処理により強化できるような、時効硬化型Mg合金の開発を目指している。我々は汎用性のある元素からなるMg-Al-Ca-Mn系合金の熱間押出しを試み、押出しままの状態で引張耐力は410MPa,引張強さは420MPa,伸びは6%という非常に優れた機械的特性をもつことを示した。そこで、このMg-Al-Ca-Mn合金押出し材の微細組織をEBSDやTEMにより解析し、押出しによる組織形成過程および強化機構を明らかにした。また押出温度による組織と機械的特性への影響も調べた。 本合金押出し材の組織は約1μmの微細粒領域と数ミクロンの未再結晶領域からなるバイモーダル組織であった。鋳造時に存在する晶出物は押出中に球状化して微細に分散しており、押出中に形成される動的再結晶粒の粗大化を抑制するだけでなく、動的再結晶粒の核形成サイトとしても働くことが示唆された。一方、未再結晶粒領域ではMg格子の底面に沿った微細な板状析出物や球状析出物が形成されており、TEM解析を行ったところそれぞれAl_2Ca相、Al_8Mn_5相と同定された。そのうち板状Al_2Ca相の存在が双晶の発生を抑制し動的再結晶を遅滞させることが明らかとなった。本合金で達成された400MPaを超える耐力は結晶粒微細化強化、微細析出物の分散強化、強い集合組織による強化の複合強化によると考えられる。また、押出温度が上昇するにつれ再結晶粒径が若干大きくなり、再結晶率も増加し、ほぼ均一な微細粒組織が得られる。耐力は減少するが、それでも320MPa以上の強度を保持しており、伸びも10%まで増加した。
|