研究課題
本研究では、金属ナノ粒子のプラズモン吸収帯のレーザー光励起によるナノ粒子近傍の局所的な高速加熱現象(金属ナノ粒子のナノヒーター効果)の物理過程を明らかにすることを目的として、レーザー光照射による金属ナノ粒子の金属連続相化過程に関して、レーザー光照射条件や、金属ナノ粒子のサイズ、金属ナノ粒子を表面修飾している有機化合物の影響等を検討した。さらに、この現象を用いることによって、サブミクロンの描画分解能での金属微細配線のレーザー直接描画法を確立し、さらに3次元的な金属微細配線のレーザー直接描画の可能性を探ることを目的とした研究を行った。金属ナノ粒子へのレーザー光照射による微小領域における昇温現象の観測法を、ラマンスペクトルのストークス光とアンチストークス光の強度比を用いた分光法的手法により確立し、金属ナノ粒子のシンクリング温度に対応する250℃以上の昇温が1μm前後の微小空間で起こっていることを確認した。断面TEMの観測からは、基板界面での結晶相の形成を観測できた。さらに、金属ナノ粒子のシンクリングをフェムト秒パルスレーザーを用いて行い、繰り返し周波数や波長の影響を検討した。これによって、繰り返し周波数の増加に伴うアブレーションからシンクリングへのレーザー誘起現象の変化が観測され、この現象は熱蓄積効果により説明された。フェムト秒レーザーを用い、金属ナノ粒子のアブレーションとシンタリング現象を組み合わせることによって、3次元的な金属微小構造体を形成できる可能性が示された。
すべて 2010 2009
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