研究概要 |
昨年度の研究を踏まえたプロセス装置開発、そのプラズマ診断、プロセス応用の研究を進めた。 (1)クライオプラズマの創製とプラズマ診断 昨年度に引き続き、各々のプロセス条件によるプラズマの安定的な発生、および、発光分光、I-V測定などのプラズマ診断を進め、数々の知見を得た。例えば、ヘリウムガスにおける40K以下での原子間力の変化に対応したプラズマパラメター(電子温度、結合パラメターなど)の変化の理論的解析を進め、プラズマのガス温度の低下に伴い、プラズマを構成する粒子の運動エネルギーの低下による自己組織化パターンの形成や自己組織化の根源である相互作用の増大というマクロとミクロの現象の出現の物理的な描画を得ることに成功した。これにより、以上のような相互作用の増大に伴うクライオプラズマの放電モードなど様々な特性変化が確認されたクライオプラズマは、従来から報告されている高密度プラズマ、すなわち、ガス温度が室温以上で大気圧近傍のガス密度の大きいプラズマ、とは異なるユニークな特性を有することが実験、理論の両面で確かめられた。 (2)材料加工プロセスへの応用 低誘電率材料であるナノポーラス物質の材料加工技術について、半導体のアッシングプロセスへの応用を進めた。各種のプロセス条件、とりわけ、ガス温度をパラメターにしたプロセス状態変化の解析、および、プロセス後の構造解析を行った。解析方法としては、XRD、XRR、XPS,AFM,EELS,FE-SEM,ラマン分光などを用いた。その結果、室温に比べ、クライオプラズマ(ガス温度200K)の熱ダメージ(構造変化)の低減が、実験的に確かめられた。また、輸送速度論モデルによる理論的な解析も進めた。
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