研究概要 |
燃料電池等に使用される粉体電極触媒が平板電極と異なる要因として,不均一ナノ粒子構造があげられる。本研究は,実用的三相界面の高機能化のため,触媒微粒数,大きさ,粒子間距離の各因子を独立制御した電極触媒アーキテクチャーを作製し,電気化学反応に関する研究を行う。また,粉体触媒側からも,それを用いる膜電極接合体(MEA)ならびに燃料電池に関係する研究も推し進める。本年度の主要な研究成果は,次の通りである。まず,研磨したグラッシーカーボン(GC)基体に,マスクファブリケーション法とマスクレスファブリケーション法を用いて,微小Ptめっきを行った。前者は,GC上に絶縁性高分子薄膜を設け,走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーをスクラッチすることで,100~nm角の基板を露出させ,任意の大きさと距離を形成できた。当該基体を作用極としてPtめっきを行ったところ,GC露出部にPtを析出させることに成功し,任意間隔で100nm以上のPtを設ける技術を確立した。また後者については,自作のナノ電極をマニピュレータに取り付け,電極先端をめっき液に浸してCG基板に当接・通電するディップペンめっきを開発して用いた。結果的に,1μm以上のPtを任意距離で作製することができた。なお基体GCとPt粒子の電気的接触は,本年度購入したマイクロ導電特性測定装置により確かめた。今後は,実際の電極触媒を模したPt微粒子集合体を作製する方法として,マスクファブリケーション法をさらに発展させうる研究を行う。次に,実際の粉体電極触媒が関与する電極反応と平板電極との差異を走査型電気化学顕微鏡に取り付けた粉体マイクロ電極とナノ電極を使用して調べた。さらに,粉体電極触媒を用いたMEAが実使用に耐える処理(コンディショニング)について,触媒反応の観点から研究した。このように,粉体電極と平板電極のギャップを埋める研究が進展している。
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