研究概要 |
燃料電池等に使用される粉体電極触媒が平板電極と異なる要因として,不均一ナノ粒子構造があげられる。本研究は,電極反応サイトとしての三相界面の高機能化のため,触媒微粒子の大きさ,粒子間距離を独立制御した電極触媒アーキテクチャーを作製し,電気化学反応に関する研究を行う。また,粉体触媒側からも,それを用いる膜電極接合体(MEA)ならびに燃料電池に関係する研究も推し進める。本年度の主要な研究成果は,次の通りである。第一に,平滑なグラッシーカーボン(GC)基体に,新たに開発したマスクインデント法を用いて,微小Ptめっきを行った。当該手法は,GC上に絶縁性高分子薄膜を設け,走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーをインデンテーションするものであり,前年度に検討したスクラッチ法より小さな20-40nmの基板を露出させ,任意の大きさと距離を形成できた。当該基体を作用極としてPtめっきを行ったところ,GC露出部にPtを析出させることに成功し,任意間隔で30-60nmサイズのPtを設ける技術を確立した。すなわち,前年度開発したスクラッチ法による100nmのPtめっきより微小化に成功した。今後は,実際の電極触媒を模したPt微粒子集合体を作製する方法として,マスクインデント法をさらに発展させうる研究を行う。次に,実際の粉体電極触媒が関与する電極反応について,当研究室で開発した多孔質マイクロ電極に各種粉体電極触媒を充填し,これを走査型電気化学顕微鏡の生成極として用い,検出極にナノ電極を使用して研究を行った。Ptの担持量と粒径が反応中間体生成量に及ぼす影響を,電位をパラメータとして定量的に分析した。さらに,粉体電極触媒を用いたMEAの性能を評価するため,本年度に導入したガスモニター装置を用いて生成物の分析から研究した。以上ように,粉体触媒電極と平板電極のギャップを埋める研究が進行している。
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