研究概要 |
本研究では,集積型の微細電極で生成したマイクロプラズマを用いた材料加工プロセスの実現と,マイクロプラズマの加工源としての可能性の探索を目的としている.本年度は,Siチップ上への集積電極アレイの作製,立体電極上の微小領域へのカーボンナノチューブ固定プロセス開発,微細電極の電界放出特性評価の3項目について検討を行った. 半導体加工プロセスは,微細で高品質な電極構造を作製可能であるが,平面工程であるため,生成したプラズマの維持や加工特性評価に有用な立体的な電極構造の形成に用いることは困難である.そこで,これまでに独自に研究を進めてきた立体的表面加工プロセス電極作製に適用した.カーボンナノチューブは電界放出特性に優れ,放電電圧の低減に有用である.非線形リソグラフィーによるフォトレジスト内部の直接露光と各種エッチング技術を組み合わせることで,立体電極上であっても,ナノチューブ合成触媒Niを電極先端部の直径1μm程度の領域にパターニングすることに成功した.電極へのナノチューブの導入により,電界放出開始電圧は,当初の400V程度から230V程度へと顕著に低減し,また,電界放出電流の測定から,パターニングにより,電界放出開始電圧はほぼ変化しないが,電流量は半減するなど,電界放出サイトが空間的に制限されていることが確認された.真空雰囲気下で,300V程度以上のパルス電圧を微細電極(カソード)とSi上Au薄膜(アノード)に印加すると,Au薄膜で溶融痕が形成され,微細電極が加工源として機能し得ることを示した.
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