研究概要 |
本研究は電気化学的アプローチによるシリコン構造体の電気化学プロセスによる精密合成を実現すると共に,これを大面積・高効率ナノ構造太陽電池デバイス形成プロセスへと展開することを目的としている.初年度である今年度は特に種々の要素技術の検討と確立を中心に研究を進めた.まず本研究ではイオン液体系を用いることから,不活性ガス雰囲気中で電析実験を行える高性能グローブボックスおよび析出過程のin situ(その場)高感度解析のためのネットワークアナライザ(現有の水晶振動子マイクロバランスに組み合わせて使用)を設備として新たに導入・立ち上げ調整を行い,実験環境を整えた. 続いてSiCI4-TMHATFSI系イオン液体からなる電解液から定電位電析により得られたシリコン薄膜試料に対し,断面TEMおよびEDXによる解析を行った結果,基板に適用していたニッケルのシリコン電析薄膜中への拡散を確認したため,白金など他種基板の適用を検討した.次にナノ構造体形成のためのパターン基板の形成について検討を行った.大面積への高速形成性に優れるナノインプリント法による基板の形成,およびそのために必要となるモールド(表面凹凸構造形成のための「テンプレート」)の形成手法について検討を行い,無電解NiP系で良好なモールド形成を行える,SAM(自己組織化有機単分子膜)による前処理プロセスを見出した.さらにUVナノインプリント法を用いて150nm径-300nmピッチのパターン基板を安定に形成可能なプロセスを確立した.この基板に対し,予備実験として金属電析による充填を行い,均一形成性を確認した.以上のように,本年度の研究により種々の要素技術を確立した.次年度はこれらの高度化を進めると共に,パターン電析実験に研究を展開する予定である.
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