研究概要 |
本研究は,ナノ構造型太陽電池デバイス形成への応用を目的としたSi構造体を,電気化学反応系を用いて形戒するためのプロセスの確立を目的としている.前年度までの検討により,電気化学水晶振動子マイクロバランスとネットワークアナライザを複合化させたシステムによる析出反応のin situ解析手法の要素技術を確立したが,これを用いてSi電析反応,特にその初期過程の解析を行った.TMHA-TFSIイオン液体溶媒にSi源としてSicl4を~0.5mol/L添加した系を用い,サイクリックボルタモグラムを併用した解析を行った.印加電位による電解液粘度の変化が観測されたが,その影響も勘案しながら解析を行った結果,Si電析は4電子反応であるとした場合の電流高率は約98%であることを明らかとした.さらに詳細な解析を進めるため,他金属種による薄膜/デンドライト形成過程に関する解析を行い,固液界面における電荷移動反応に関する基礎的知見を得た.また,Siナノ構造体形戒のための検討として,前年度までに見出した最適条件を用い,ナノインプリント法により形成した150nm径のドットアレイパターン基板を用いて電析を行った.析出したSiの断面TEM解析の結果から,形成されたナノ構遣体は稠密であることを確認した.またラマン分光分析の結果からアモルファス構造であることが示された.さらに,前年度までのGDOESによる組成分析では,0の存在が多く確認され,SiO2化していない金属Siの確認には至らなかったが,ラマン分光分析によりこれを直接確認した.さらにSiCl4濃度および印加電位を変化させた検討から,ナノパターン基板からピラー状に構造体が析出形成されるメカニズムを考察した.これらの威黒を基に,今後はプロセスのさらなる高精度化を図ると共に,大面積化対応への実証等へと展開する予定である.
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