研究概要 |
1.製鋼スラグとFeS-MnSマット間の平衡関係の研究:FeS-MnS-CaS系硫化物とCaO-SiO_2-FeO-MnO-MgO-P_2O_5系スラグ間の平衡分配を1673Kで調べた。スラグ5g、硫化物5gをMgO坩堝内、CO/CO_2/SO_2雰囲気中、1673Kで24時間保持後、急冷した。本研究では、Fe-O-S系及びMn-O-S系の酸素-硫黄ポテンシャルの関係を参考にし、logPo_2=-13及び-10、logPs_2=-6~-1.9の範囲で平衡実験を行った。また、CaOの添加量が異なる4種類のスラグ組成(CaO/SiO_2=0,0.5,1.0,1.5)を用いてスラグ塩基度の影響を調べた。得られたスラグとマット中の各組成はICP,EPMAで,酸素及び硫黄分析は赤外吸収法で評価した。スラグ塩基度(CaO+MgO/SiO_2)が高いほど分配率が大きくなる傾向が確認された。また、この分配率は溶融スラグからマットへのマンガン回収率を意味し、実際の製鋼スラグではスラグ塩基度がより高いため、マンガンの回収率が高くなると予測される。一方、マット中のMn/Feの濃度比については、スラグ塩基度の増加とともにMn/Feの濃度比が高くなる傾向にあるが顕著ではないことが分かった。さらに温度の影響についても調査し、温度が高い方がMnがマットに濃化しやすい傾向があることが分かった。また、銀浴を用いた平衡実験からスラグ中のMnOおよびFeOの活量測定を行い、スラグとマット間のMn、Feの分配の反応について、熱力学的な検討を行った。 2.C_2S-C_3P固溶体組成と水溶性の関係(水溶液への溶解度測定):工業的に利用される組成に近いスラグ中のC_2SとC_3Pの水溶液に対する溶解度を測定し、燐の分離回収について検討した。
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