研究課題
今年度は、Si合金における固液界面自由エネルギーの測定を試みた。特に前年度までの静滴法による実験手法に関する問題点を洗い出し、基板に液滴を滴下する手法では、基板と液滴が溶解反応を起こした際に、固液界面形状が滴下の影響を受けて安定しないことが明らかとなった。そこで、今年度は、液体をるつぼ内で溶解し、その液体合金に固体基板を上部から浸漬させ、液体が基板表面を上方に向かって濡れ広がるとともに、徐々に基板を溶解し、固液界面が形成させる様子を観察する新たな手法を導入した。また、本方法を適用するための装置の開発を行った。その結果、本手法によってSi合金系の固液界面自由エネルギーを測定できる実験条件を明らかにすることができた。ただし、この方法はSi合金のように液相と純粋な固相が平衡する場合にのみ適用できる。一方、金属系の固液界面自由エネルギーを決定する因子として液相中の界面近傍のエントロピーの影響(界面近傍での液相中では原子の分布は液相中のバルクのように無秩序配列ではなく、やや規則化していることによるエントロピーの低下、いいかえると自由エネルギーの増加)について検討を始めた。その結果固液界面自由エネルギーに及ぼすエントロピーの影響は無視できず、重要な因子であることが明らかとなり、かつ、その効果はエンタルピー項の影響とほぼ同等であることを見出した。この知見に基づき、純粋金属系の固液間界面自由エネルギーの値を推算できるモデル式を導出した。
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日本結晶成長学会誌
巻: Vol.37, No.2 ページ: 100-105
ふぇらむ
巻: Vol.15, No.1 ページ: 24-29