研究分担者 |
生貝 初 鈴鹿工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (60184389)
黒田 大介 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 准教授 (70343879)
吉武 道子 独立行政法人物質・材料研究機構, 主席研究員 (70343837)
柳生 進二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 研究員 (20343874)
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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研究概要 |
海洋中(伊勢湾岸)に浸漬された金属基板の種類により,付着細菌の種類が異なることが遺伝子解析の結果明らかとなった.この知見は大きな意義を持つように思われる.従来バイオフィルムの形成は基板の種類によらず,表面あらさなどその他の物理的な要因が大きな影響を与えるとされてきたからである.バイオフィルム形成による材料劣化の一つに微生物腐食があるが,これについては従来の知見では,硫酸還元菌の新陳代謝に関係する化学反応に材料が関与することにより腐食劣化を起こすとされていたが,従来の考え方は,(1)単一の浮遊細菌の化学反応が材料の腐食劣化の主要因,(2)単一の細菌が普遍的であるが故に必ず材料表面に見られるはず,とした二つの基本的仮定が正しくなく,それの上に構築されたメカニズムが大きな意味を持たなくなることを示唆している点で,きわめて大きな研究結果であると考える.さらに、金属と細菌の親和性との検討において、緑膿菌をモデルとして様々な角度から検討した結果、シデロフォアーと呼ばれる鉄キレータが三価の鉄を補足して、二価の鉄イオンに変えて体内に取り込むことによって、鉄と細菌の強い親和性が出て、バイオフィルムの形態が大きな影響を与えることがわかった。これにより、最終年度のバイオフィルム抑制のためのメタリックコーティングは、環境負荷性がよく、他の機械的性質、色調、耐食性などの性質が良好で、かつ鉄イオンの抑制をいかに効率よく行える金属あるいはその化合物を用いて行うことであることが判明し、研究開発の方向性が明確となった。
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