研究課題/領域番号 |
21360373
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米本 年邦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40125688)
|
研究分担者 |
久保 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50323069)
中島 一紀 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50540358)
|
キーワード | イオン交換樹脂 / エステル化反応 / エステル交換反応 / 吸着脱離 / バイオディーゼル燃料 / ビタミンE類 |
研究概要 |
本課題では、米糠油の精製工程で副生し廃棄物となっている残渣油から、健康機能物質トコトリエノールの回収と環境調和型バイオディーゼル燃料の生産を行う新規な反応・分離プロセスを構築することを目的とする。残渣油の主成分は遊離脂肪酸とトリグリセリドであり、トコトリエノールを含むビタミンE類を低濃度で含んでいる。昨年度までは回分系での検討を行い、第1段階として、陽イオン交換樹脂を触媒としたエステル化反応によって残渣油中の遊離脂肪酸をバイオディーゼル燃料に変換(50℃)、第2段階として、陰イオン交換樹脂を吸着剤として残渣油中からビタミンE類を吸着除去(10℃)、第3段階として、ビタミンE類が吸着した樹脂に脱離液を加えることでビタミンE類を溶離させて回収(50℃)、第4段階として、ビタミンE類を除去した後の残渣油中のトリグリセリドを、陰イオン交換樹脂を触媒としたエステル交換反応によって燃料に変換(50℃)、という各操作条件の最適化により、目的の反応・分離が達成できることを示した。本年度は、これら4段階の操作を連続的に行うプロセス構築のため、各樹脂を充填したカラム型リアクターに反応液や溶離液を所定流量で通液する流通系での検討を段階毎に個別に行った。まず、第1段階の遊離脂肪酸の燃料化では、陽イオン交換樹脂量と溶液供給流量を操作因子として充填層内の滞在時間を適切化することで、転化率100%を達成することができた。第2段階のビタミンE類の吸着において、カラム温度10℃では、陰イオン交換樹脂を保持するフィルター付近で溶液が固化して通液できないため、30℃に変更した。また、第1段と同じ流量での通液により、流出液中のビタミンE類濃度がほぼ零となることを確認、かつ、カラムの破過時間も明らかにした。次に、ビタミンE類が吸着したカラムに溶離液(酢酸アルコール)を通液することでビタミンE類が鋭い濃度ピークで溶出すること、ビタミンE類除去後の反応液をさらに50℃の陰イオン交換樹脂カラムに第1、2段と同じ流量で通液することで、残存するトリグリセリドを転化率100%で燃料に変換できることを明らかにした。
|