研究課題/領域番号 |
21360374
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
佐藤 善之 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50243598)
相田 卓 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (00466541)
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キーワード | イオン液体 / 二酸化炭素 / 低粘度化 / セルロース |
研究概要 |
本年度の研究は「バイオマスを溶解したイオン液体へのCO_2・水の添加による低粘度化、ならびに各種構成成分の分離プロセスの構築」に向けて、重要となる溶液の粘度を把握することを目的とした。 まず、バイオマスの主成分であるセルロースのモデル物質として、その構成物質のグルコースを添加したイオン液体の粘度測定を行い、濃度と温度が粘度に与える影響について検討した。比粘度の結果から、いずれの温度でも濃度の上昇に伴い粘度は増加し、その増加率は低濃度ほど低かった。また各濃度において、粘度は温度の低下に伴い増加した。(1) 続いて、イオン液体に溶解したセルロースの安定性を評価し、本プロセスに用いるイオン液体の選定および温度条件の選定を行った。実験前後のセルロースの重合度変化の結果から、低温でイオン液体を構成するアニオンがCH_2COO^-の場合に、溶解したセルロースが分解しにくいことが示唆された。(2) 次に、選定したイオン液体にセルロースを溶解させ、その溶液にN_2またはCO_2を加圧して粘度を測定した。N_2の場合、圧力の増加に伴い粘度は変化しなかったが、CO_2の場合、圧力の増加に伴って粘度は減少した。測定中のセルロースの分解は観測されず、粘度変化の差異はイオン液体へのガスの溶解度に起因すると考える。溶解したガスが希釈剤として作用した結果、粘度が減少したと考察した。(3) 以上のことから、本法の有用性に以下のように考える。プロセスの運用上、処理量の確保の点から高濃度の溶液を処理したいが、溶液の粘度が高くなるため操作性に問題が生じる(1より)。溶液の低粘度化のために温度を上げると、分解が進行する(2より)。一方、溶液をCO_2で加圧すると、溶解したCO_2により粘度が低くなる(3より)。本法では加圧CO_2を用いることで、分解を抑えた溶液の低粘度化を実現可能であることがわかった。
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