| 研究概要 |
本研究では,シリカアモルファスネットワークの細孔径制御技術として,側鎖および主鎖に各種の官能基を有する構造化アルコキシドの利用を提案している。以下を本研究の研究実績とする。
(1)ゾル調製と製膜:市販されている構造化アルコキシドとして,Si=1では珪酸エチルTEOSの1個のエトキシドをアルキル基およびフェニル基で置換した側鎖型アルキルシランを用いた。さらに,2個のSiの間に各種官能基を有する橋かけ型アルコキシドとして,bis(triethoxysilyl)methane(BTESM), bis(triethoxysilyl)ethane(BTESE),さらにジシロキサン化合物として,tetraethoxy-diethoxy disiloxane(TEDMDS), hexaethoxy disiloxane(HEDS) を用いた。αアルミナ基材(3および10φ)へコーティングし,空気および窒素雰囲気で焼成することで製膜を行った。
(2)Normalized Knudsen-based Permeanceの提案と細孔径評価:細孔径1nm以下の評価法であるNormalized Knudsen-based Permeance法(NKP)(昨年度提案)を用いて,各種構造化アルコキシドを用いたシリカ膜の細孔径の評価を行った。その結果,側鎖に官能基を有しない場合,Siが1個の珪酸エチルTEOSでは約3Åの平均細孔径を有するのに対して,Si=2のアルコキシドを用いることで細孔径を4-7Å程度に制御可能なことを明らかとした。さらに,側鎖の有機官能基は,シリカ膜の透過性を低くすることを明らかとした。
(3)各種の応用分野への応用:気体分離(H_2/有機ガス),有機水溶液脱水,逆浸透法への応用を行った。水素透過率が1x10^<-6>mol/(m^2s Pa)程度,H_2/C_3H_8透過係数比が1,000以上を示すことを明らかとした。さらに有機水溶液の浸透気法に応用した場合,極めた高い水透過透過率3x10^<-6>mol/(m^2sPa),および高い分離係数(水/酢酸>300,水/イソプロピルアルコール>1,000)を示すことを明らかとした。
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