研究代表者らはシリカ等の湿潤ゲルを方向性を持たせて凍結することにより、マイクロハニカム状のモノリス体が得られることを見出している。氷をテンプレートとして利用していることから"氷晶テンプレート法"と名付けたこの手法は原理的にはゾルーゲル法で作製可能な材料一般に適用可能である。現在まで、シリカの他にシリカアルミナ、シリカチタニア等の複合金属酸化物ゲル、そしてレゾルシノール-ホルムアルデヒドゲル等の有機ゲルへの適用に成功している。このように種々の機能を有するモノリス体が作製可能であるが、それらの機能はある程度限定される。 そこで本研究ではマイクロハニカム状モノリス体の普及を加速すべく、そのさらなる高機能化を目的に実施した。本年度はまずゾルーゲル法では得られない機能を有する活性種を積極的に導入し、モノリス体が利用可能な範囲の拡大を図った。活性種としてはサブμmサイズ、nmサイズ、Åサイズと大きさが異なるものを想定し、それぞれのサイズに合むせた固定化技術の確立を目指した。サブμmサイズの代表としてチタニア微粒子を、nmサイズの代表として巨大分子であるケギン型のヘテロポリ酸を、そしてÅサイズの代表して官能基であるスルホン基をモデル活性種として選択し、それぞれをマイクロハニカムへの固定化する技術を開発した。 本年度はさらにモノリス体を有機-無機ハイブリッド化することも目指した。具体的にはレゾルシノール-ホルムアルデヒドゾルとシリカゾルから有機-無機ハイブリッドゲルを作製し、これに氷晶テンプレート法を適用してマイクロハニカム状のモノリス体に成型することを試み、目的の材料を得ている。さらに高温の不活性雰囲気でこれを処理することによりSiCに変換することにも成功した。 これら一連の検討を通し、マイクロハニカム状モノリス体に今までに無い機能を付与することが可能となった。
|