研究代表者らはシリカ等の湿潤ゲルを方向性を持たせて凍結することにより、マイクロハニカム状のモノリス体が得られることを見出している。氷をテンプレートとして利用していることから"氷晶テンプレート法"と名付けたこの手法は原理的にはゾル-ゲル法で作製可能な材料一般に適用可能である。現在まで、シリカの他にシリカアルミナ等の複合金属酸化物ゲル、そしてレゾルシノール-ホルムアルデヒドゲル等の有機ゲルへの適用に成功している。このように種々の機能を有するモノリス体が作製可能であるが、それらの機能はある程度限定されていた。 そこで本研究ではマイクロハニカム状モノリス体の普及を加速すべく、そのさらなる高機能化を目的に実施した。本年度は光触媒能を有するマイクロハニカム状モノリス体の創製を目指した。シリカとチタニアゾルを調製し、これらを混合してゲル化させた。得られた湿潤ゲルに氷晶テンプレート法を適用し、マイクロハニカム状に成型した。得られたシリカ-チタニア複合ゲルのマイクロハニカム状モノリス体は高い表面積を有し、シリカゲルのマトリックスにアナターゼ型のチタニア結晶が分散されたような構造を有することが分かった。このモノリス体の一端から処理対象の流体をモノリス体を通過するように流し、反対側を光で照射したところ、光触媒反応を効率良く実施することが可能であることを確認した。同材料のペレットと比較したところ、光の照射面積当たりの処理効率は5倍以上となり、光触媒の3次元的な利用が非常に効果的であることを実証することに成功した。さらに流体の流量及びその中の処理対象物の濃度を変化させて実験を行ったところ、モノリス体中のシリカによって付与された吸着能により、光触媒としての見掛けの活性がこれらの因子に大きく影響されることが明らかとなった。
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