研究課題/領域番号 |
21360386
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 隆夫 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20165715)
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研究分担者 |
多湖 輝興 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20304743)
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キーワード | ナノ結晶ゼオライト / テンプレートフリー合成 / 界面活性剤添加効果 / 拡散係数 / ゼオライト触媒膜 / 低級オレフィン / 芳香族アルキル化 |
研究概要 |
本研究の目的は、拡散の影響が無視小なゼオライトナノ結晶を基材とした構造体触媒の開発である。平成21年度はテンプレートフリー条件下でのゼオライトとしてMFiとMORのナノ結晶合成に成功し、その吸着特性を評価した。これら知見を基に平成22年度は拡散抵抗を無視小とする結晶サイズを求めるとともに、構造体触媒としてゼオライトナノ結晶積層触媒膜を調製して、アセトンからのオレフィン合成を行った。 結晶サイズの影響はアセトンとn-ヘキサンの接触分解反応を充填層型反応器を用いて実施した。両反応とも結晶サイズ200nm以下で拡散の影響が無視小となることを見出した。特に、n-ヘキサンの反応では反応初期に生成する生成物が速やかにゼオライト結晶から結晶外へ移動することから、二次的が抑制される。そのため、結晶サイズ60~200nmの範囲において100%近い反応率においても初期に生成する有用オレフィンの収率は高い値で維持された。 MFIゼオライトのナノ結晶をアルミナフィルターの表面に積層したナノクリスタル積層触媒膜を構造体触媒として用い、アセトンからの低級オレフィン合成を実施した。充填層型反応器と比較して、工業的に重要な高い反応率の範囲で構造体触媒は高いオレフィン収率を与えた。また、生成したオレフィンが触媒膜を通過する間にナノ結晶外表面の活性点(酸点)上で二次的反応を受けて芳香族に転換することを抑制するため、当該研究者が開発したシリル化法によりナノ結晶外表面の酸点を不活性化した。このナノ結晶を基材とした構造体触媒は処理前に比較してオレフィン収率を向上させた。さらに、ハニカム状のフィルターの内側のチャネル表面にナノ結晶を均一に積層することにも成功している。
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