研究課題/領域番号 |
21360388
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山口 猛央 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30272363)
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研究分担者 |
伊藤 大知 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50447421)
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キーワード | バイオ燃料電池 / レドックスポリマー / 酵素反応 / 失活 / 吸着変性 / カーボン / グラフト重合 / 表面処理 |
研究概要 |
酵素を用いるバイオ燃料電池の電流密度は、レドックスポリマーをグラフト重合した微細カーボン粒子で構成された三次元電極を用い、仮に酵素が水溶液中と同じ速度で反応すれば、現在の百倍以上まで増加させられることが、モデル計算により分かっている。今年度の研究では、計算モデルが実証できていない原因の追究を行った。実験で得られる電流密度が低い要因としては、電極中に固定化された酵素の絶対量の不足、酵素とメディエータとの電気化学的な接触の不良、固定化した酵素の失活の3点が考えられる。 電極の酵素溶液への含浸前後の蛍光強度測定および、透過型電子顕微鏡による直接観察から、電極中に固定化された酵素の絶対量は充分高いことが分かった。また、溶存メディエータを用いた電気化学測定の結果、レドックスポリマー中のメディエータと接触していない酵素の量と、接触している酵素の量は同程度であり、計算モデルで予想される電流密度と実験値との2桁の差の主要な原因ではないことが明らかになった。そこで、酵素固定化時の失活の影響を評価した。酵素を微細カーボン粒子へ吸着させ、溶液へ分散させて活性評価をしたところ、カーボンへの吸着時に酵素活性が10%程度まで減少していることが明らかになった。これは、疎水的な表面を有するカーボン粒子への吸着時に酵素が変性して失活しているためと考えられる。なお、電極では疎水的な結着剤を用いているため、酵素活性はさらに低下している可能性があり、吸着時の酵素の失活を抑制することが、電流密度を増加させるために必須であることが明らかになった。
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