研究課題
マイクロ波は狭いエネルギー分布を持つ電磁波であり、照射される物質のマイクロ波領域での吸収能の違いによって物質を選択的に加熱することができる。中でも固体と液体からなる不均一系では高いマイクロ波吸収性の固体がマイクロ波照射で選択的に加熱され、その表面は周囲の溶媒温度よりも高温になると考えられる。この高温な表面は反応場として機能することが期待できる。そこで本研究では、固体の選択加熱によって形成する高温の表面を利用して特異なナノ構造や反応促進を得ることを目的とした。本年度の研究として、シングルモード型マイクロ波装置を用いて磁場及び電場最大点での反応を行い、その結果をオイルバス加熱で行ったものと比較した.反応はCrO2及びMnO2を用いた1-オクタノールの酸化反応、スルホン酸修飾カーボン(C-SO3H)を用いた酢酸と1-ブタノールの酸触媒エステル化反応を行った.CrO2及びMnO2を用いた反応では、反応開始1分後に、磁場最大点での収率がそれぞれ29.4、12.0%、電場最大点が26.6、10.6%、オイルバスでの収率が17.4、6.3%となり、マイクロ波による反応促進効果が得られた.しかし、C-SO3Hを用いた反応では、反応開始5分後に、磁場最大点が15.3%、電場最大点が16.5%、オイルバスが19.9%となり、反応促進効果は得られなかった.これらの固体の違いは、固体自体が酸化反応を起こすかどうかという点にある.
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