研究の目的は、アーク放電などで合成させるカーボンナノチューブやナノホーンに細孔を付加させて、そこに水素吸蔵合金を詰めて合金内包カーボンナノ粒子を創製し、水素吸蔵特性を調べるというものである。前年度はアーク放電によって合成されるカーボンナノホーンに酸化処理で細孔を空ける条件について検討した。22年度では、カーボンナノチューブに金属昇華によって合金を詰める作業について検討した。この検討結果では、カーボンナノチューブが同作業中に構造が崩壊し、目的とする合金内包カーボン材料を得ることはできないことがわかった。しかしながら、その実験において、カーボンナノチューブがPd存在化で比較的緩やかな温度(1000~2000℃)とすることによりカーボンナノホーンに転移することが見出された。これは、カーボンナノホーンを合成する条件としては従来の方法と比較すると極めて低い温度であり、工業的なカーボンナノホーン合成を開発するにあたって有意義である。水素吸蔵合金カーボンナノ材料を合成するために、炭素電極に水素吸蔵合金の組成を含有させた炭素棒を使いアーク放電を行うことを試みた。結果として、生成物中に目的とする合金のナノ粒子をつくることができた。次年度は、その水素吸蔵性能を確認する検討が必要である。
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