研究概要 |
これまで申請者らによって提案され実施されてきた先端的固体酸性質研究方法-IRMS-TPDとDFTの併用-を利用することによって,合成ゼオライトおよびそれらをさまざまな方法で修飾したゼオライトの酸性質を原子レベルで詳細に研究した.以下の三つの点に絞って研究を実施した. A水蒸気処理およびアンモニア水蒸気処理によるHZSM-5上の非常に強い酸点の発現 低い蒸気圧でHZSM-5を処理することによって,アルカン分解反応に高活性な触媒が得られるとの報告がある.このことを再確認し,その理由がBronsted酸強度が強められているためであることを明らかにした.一方アンモニア水蒸気処理によっても触媒活性が向上するが,これは酸強度が強められたのではなく,アルカンに対する反応次数が通常の1から,部分的に1以上になることによるものであり,脱Siなどの細孔構造の変化によって,一次反応規制が除かれるためであると結論した. B USYゼオライトの強い酸点の発現 USYゼオライトを調製したあとのアンモニウムカチオンを含む試薬の処理によって,酸性質の発現を妨げているDebrisを除き,強いBronsted酸点を発現させることがわかった. Cゼオライトのアルカン分解反応機構 オクタン,ヘキサン,ペンタン,プロパンの分解反応における活性化エネルギーと酸強度の相関性を検討した.Yゼオライトについては,両者に良い相関性を認めたが,ZSM-5については単純な相関性を得られなかった.
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